松戸市立博物館友の会

 松戸市立博物館友の会は・・・
 「楽しく学ぼう」をスローガンに、会員相互の交流を深めながら日本と郷土の歴史や文化を学ぶ会です。また、松戸市立博物館が主催する親子体験教室への支援活動を行っています。市民による文化・伝統への意欲ある自主活動です。お互いで学び、支え合っていきましょう。
◎年間を通して盛りだくさんの学習会や見学会、講演会を開催。「まつどまなびぃネット」・会報で募集・結果・各種情報を紹介。
(1)学習部会に入会して楽しく学びます(古文書部会・みなづき古文書会・松史会・中世東国の講読会・はたくさの会・まつどを知る会)。
(2)歴史遺蹟・他の博物館などへの見学会(バス年3回・徒歩5回、会員優先)に参加。
(3)博物館(年3~4回)と友の会(7~8回)等が主催・共催する講演会に参加。
(4)友の会会報(年6回、奇数月発行A4・12p)・近隣館情報等が届き、「ネット」(週1回)掲載。会員は学習成果の発表・こだわり趣味などを披露できる。
(5)児童の米づくり・昔の道具・生活"体験"教室などの支援活動に参加。
◎年会費 一般(個人)会員3千円、準会員(中学生)500円、家族会員4千円、賛助会員1万円
◎会員数(1/1現在) 227名

見学会サイト  https://sites.google.com/view/tomonokai2021   藤沢

◎問合せ先  友の会事務局(松戸市立博物館内) 椎野/蒲生
〒270-2252 松戸市千駄堀671
TEL 047-384-8181代表 FAX 047-384-8194





2021年07月24日

友の会共催講演会報告:「幕末江戸の麻疹(はしか)パンデミック」富澤達三学芸員 7/24(土)№465

 新型コロナの感染は一年半を超え、ワクチン注射が進む中、依然、峠がみえてきません。7/24(土)午後から、市立博物館と友の会共催の学芸員講演会が開かれました。富澤達三学芸員による「幕末江戸の麻疹(はしか)パンデミック」でした。160年前、維新6年前、1862年(文久2)夏、江戸で約7万5,000人が死亡するという疫病の麻疹(はしか)が大流行しました。現代でも麻疹の特効薬は未開発ですが、ワクチン接種で発病は防げるようになりました。現在の新型コロナへの庶民の感染対策と比べてみる内容となりました。当時に出版された錦絵のうちから、80点を絵柄の変化、文章の内容などを紹介されました。以下、レジメの項目から紹介します。

 はじめに―『病(やまい)が語る日本史』(酒井シヅ・講談社・2012刊)を引用しつつ、疱瘡(ほうそう、天然痘)は、毎年のように発病がみられたが、麻疹は20~30年の周期で江戸では流行したこと。
1,はしか絵登場―1855年(安政2)の安政大地震後に、時事をわかりやすく戯画と文章で伝える江戸浮世絵『鯰絵』が幕府黙認のなか流布した例。麻疹の猛威のなか、これを題材とした錦絵(にしきえ)が1862年4月と7月に多数出版された。錦絵(浮世絵版画)の問屋から絵師→検閲印→版木彫り→摺師→販売の流れを解説。
2,麻疹をやりこめろ・立ち上がる民間信仰―麻疹の原因は麻疹神のしわざとされ、その厄を防ぐ絵柄の錦絵が、当時の民間信仰や医学的知識のもとに描かれた。その絵柄からは、麻疹神を寄ってたかって殴る図とか抑止する鍾馗(しょうき)様とか、半田稲荷の厄除けであった。文章は、まじないや食事療法に関するものが多かった。当時も、麻疹は人から人に伝染する病いであることはわかっていたようだ。病状経過の文では、麻疹の発症・病状・病状経過の概略・"治癒に75日間かかる"とある。
3,はしか絵の変化・「呪術」から「養生}へ麻疹―6点の麻疹の錦絵を例に画像解説をしながら、4月(検印)発行では、{呪術的絵柄とまじない情報}が重視され、7月(検印)発行からは{食物や体調管理}など合理的情報での{養生}を重視する内容になっていく。
4,おわりに―幕末維新期には、災害・開国・戦乱といった時事を「戯画と文字」で、継続的に伝えた錦絵が一大ジャンルとなっていく。江戸幕府は時節めいた噂を出版するのは厳禁していたが、有用な情報として黙認か?。絵で伝えられた民間信仰が{心を活性化させる}ということでは、重要な感情史として興味深い。

 庶民のニーズをとらえていった歴史民俗資料の解説でした。現在の私たちは新コロナ対策のまだ渦中にある。クルーズ船の感染者対策の頃から、1次、2次、3次と対症療法の感染防止策のくりかえし。ワクチン注射の予約騒ぎやワクチン不足など、疫病流行への右往左往には変わらぬ姿もみられます。身近なコロナ禍中の記録となるものを残し、後世に伝えていくことも必要なことでしょう。(記・松尾・Ⓣ)